いい人とは③

いい人という言葉がどんどん嫌いになってゆくね。でも考えたい。

 

この間会社で、10年上ぐらいの先輩が、ひたすら上司の愚痴をこぼすという、まるでドラマのワンシーンのように至極一般的な、それでいて非常に平凡な、さらに言えばなんの生産性もない、昼休みの1時間を過ごした。

 

「こちらの不手際もあるんだけど、あの言い方はないよね。まじで」そう。僕もその上司の喋り方は嫌いだなと思っていた。声を荒げるわけじゃないけど、反対意見を言う時、ちょっと小馬鹿にしたような感じで返してくるのだ。「こういうことですかね」「ハッ、そうじゃなくてさぁ。こっちだろ。どう考えても。」「なるほどですね」「ハッ、いや、なるほどじゃなくてさぁ…」みたいな。たしかに会話のキャッチボールをするたびに、ちょっとずつイライラが蓄積されていくのだ。たわいもない話はできる。けど仕事の話はできればしたくない、という感じの上司なのである。

 

「でさぁ、ずっとそんな感じで言われるから、もう最後私どうでも良くなっちゃって。なんも話聞かずに話終わらせちゃった。ま、いい人ではあるんだけどねぇ〜〜」

 

出たーーーーーーーーーーーー!!!!いい人!!!!説明してください、こんだけ愚痴っていい人だと結論づける理由を。

 

いい人って、もしかして逃げのワードだったりする?と書きながら唐突に思った。

 

愚痴るのは大変人間らしい行為だと思うが、ちょっとダサい行為でもあるよね。器が大きいというか、おおらかな人は愚痴らないだろうし、なんかそういう人はかっこよく見える。

 

だから多分、愚痴だけでシメたくなかったんじゃないかな。ストレス発散のために愚痴は言いたい。でも、(しかも入社2年目の前で)そんな小さい人間だと思われたくない。ちょっと恥ずかしくなってきちゃった。違う!私は余裕のある、なんでもこなせる人間だと証明したい。が、故の、「ま、いい人なんだけどね〜」なのではないか。

 

そんなこと言ったら、犯罪者じゃない限りみんないい人。